弊事務所では、お客様からの就業規則についての多くの質問に対応させて頂いております。
多く寄せられた質問について下記にQ&Aでまとめました!
是非ご参考下さい。
就業規則の作成や変更は、会社が自由にできるのですか?
就業規則は、会社が作成・変更するもので自由ですが、内容について法令や労働協約に反することはできません。
また、就業規則を作成・変更する際には、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者の意見を聞かなければなりません。
さらに、就業規則の「不利益変更」について、合理的なものでないため無効とされた裁判例もあります。
就業規則にはどのようなことを書けばいいのですか?
就業規則に記載する内容には、“絶対的必要記載事項”と“相対的必要記載事項”があります。
絶対的必要記載事項とは、必ず記載しなければならないもので、勤務時間、休憩、休日、休暇、賃金、退職に関することが当てはまります。
相対的必要記載事項とは、会社で独自に定めているもの(退職手当、賞与等の臨時の賃金、服務規律、安全及び衛生等)があれば、記載しなければならないこととなっています。
就業規則の試用期間とはどんなものですか?
試用期間とは、いきなり本採用の正社員として採用するのではなく、3か月とか6か月とかの期間を定めて、試験的な試みに使用することを定め、その期間中に正社員として適格であるかないかを判断するための制度のことです。
この試用期間を設けることは、就業規則、労働条件通知書又は労働契約書などに明記しておかなければなりません。
労働基準法には、試用期間の定めに関する規定はありません。ただし、第21条の解雇予告の部分では、試の使用期間中の者が14日を超えて引き続き使用される者を解雇する場合は、30日前の解雇予告又は解雇予告手当が必要になることが規定されています。
また、試用期間中の者は不安定な状態におかれるため、試用期間の長さには充分注意が必要です。
試用期間中の従業員について、社会保険や労働保険に加入させる必要はないと考えている事業主の方がいらっしゃるかもしれませんが、それは誤解です。
社会保険、労働保険ともに試用期間であるかないかは、加入の要件にはなっていません。ご注意下さい。
社員が10名以下の場合、就業規則の一部のみ作成した場合、法律的に成立しますか?
社員が10名以下の場合は、就業規則の作成義務のない事業所といえます。
そのような事業所でも、もちろん就業規則の作成をすることは可能ですし、また望ましいことでもあります。
そうして作成された就業規則(労働基準法上は、「就業規則その他これに準ずるもの」と呼ばれています)にも、労働基準法上の就業規則に関する以下の規定は適用されると考えられます。
就業規則で労働者に対して減給の制裁を定める場合は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えるか、総額が1賃金支払い期における賃金の総額の10分の1を超えると罰せられます。(91条)
就業規則は、法令又はその事業所で適用される労働協約に違反することはできない。(92条1項)
労働契約は、就業規則で定める労働条件の基準に達しない場合は無効である。この無効になった部分は就業規則で定める基準による。(93条)
法律上、社員が10名以下の場合、就業規則の一部を作成しても上記の部分に違反していなければ、成立すると考えられます。
ただし、できれば労働基準法に定められている労働条件の最低基準については、明記していた方が、後々のトラブル防止につながるでしょう。
従業員を降格・降給しなければならない上での注意点を教えて下さい。
降格については、部長から課長への降格のように職位を引き下げるものと、職能資格制度下で、資格を低下させるもの、等級を下げるもの(昇級の反対措置で、これが多くの場合、「降級」と呼ばれます)とがあります。
又、降格には、懲戒処分としてなされるものと、人事異動としてなされる場合や、いわゆる変更解約告知としてなされる場合もあります。
しかし、裁判例は降格・降級につき、それが一般的には権限や賃金の低下等の労働条件の改悪となることが多いことから、降格規定の存在を要求し(就業規則に明記)、人事権や懲戒権の濫用を認めるなどの方法で、急激な降格に関しては慎重な判断を示しています。
従って、降格・降級を実施する際には、その根拠規定の整備やその適用要件の証明は十分かなどの慎重な準備の上にそれを実施することが必要です。